today’sbooks’s diary

出会った本のことなど

『SFカーニバル』

フレドリック・ブラウン編 小西宏訳

創元SF文庫で、1964年初版。

古書市で購入。買ったものは1999年に復刊フェアで再版したもの。47版ですから、かなり売れた本なのでしょう。

値段は古書でありながら、1000円。ちょっと高いかな、と思いましたが、調べてみるとまともな状態の古書は1800円を超えているようなので、購入しました。

アマゾンのレビューも、高評価が多かったです。

ユーモアSFのアンソロジーで、短編10篇が収められています。

『ジョーという名のロジック』『ロボット編集者』あたりが面白かったかな。

いずれも、インターネットやAIが普及した現代に通じる、ブラックジョークな世界でした。人間が主導権を握っているつもりが、実際はコンピューターやロボットに踊らされている。どちらもユーモラスで、深刻な展開にはなりませんが、これが一歩狂い始めたらどうなるか、と考えると、怖いです。いま、私たちもいろいろ気をつけたほうがいいことがあるのでは、と思いました。

各作品の扉に、司修さんのとてもすてきなイラストがあって、魅力的な本になっています。

SF作品は、あまり読んでいませんが、いまのところ感じているのは、人間存在の根幹を揺さぶるようなタイプのものが少ないということ。架空の世界をゼロから作り上げる、それも破綻があってはならないので、論理が力を持っているということでしょうか。ちょっと頭が疲れてしまうこともあるんです。

でも興味があるので、古書市で面白そうなものがあると、つい買ってしまうんですけど。

そういえば、ホーガンの『星を継ぐもの』は、素晴らしかったです。池央耿さんの名訳も記憶に残っています。